〜宇宙開発の名誉より、社会貢献を選んだ男〜
ETCシステム全体の設計に携わり、日本に先駆けて
海外で実用化したETCシステムの開発秘話と
三菱重工製ETC車載器の優位性について語る。

ETC車載器の開発秘話


宇宙開発からの転身‥
「それでもETCの社会的使命は大きい」


---ところで、三菱重工業というと、どちらかといえば消費者向けの製品というよりももっと大きな、企業向けのものを想像してしまうのですが。

船舶・重機から始まり航空、化学プラント、原子力‥、最も消費者の方になじみがあるといえばビーバーエアコンかもしれませんね。実はその点が一番難しくて、私どもの製品は基本的に受注生産が中心なんですね。

---つまり、大量生産が主流の消費者マーケットにおいては浸透が難しい部分もあると?

製品には自信がありますが、 じゃあどれだけ生産すれば良いのかといったシェアを予想することには苦労しています。

---東條さんは以前宇宙開発を担当されていたとか?

そうです。

---そこではどのようなお仕事を?

まず主なものをあげるとすればロケットエンジンの試験設備の設計、これは種子島宇宙センターにあります。それからスペースシャトル搭載の無重力実験装置の開発にも参加しました。向井千秋飛行士が乗り込んだスペースシャトルに搭載された水棲生物飼育装置のことですが、これも神戸造船所のですよ。
金魚やメダカが乗り込んだことを覚えていますか?

---存じています。特に私どもは名古屋の会社ですので、弥富の金魚が非常に注目されていたことを覚えています。非常に幅広く手がけておられるのですね。

その後H2ロケットの発射設備を設計したあと、平成6年に現在のITS関係の仕事に転勤となりました。

---空から陸へと転身をはかられたわけですが、どうでしょう、やりがいという点では?

確かにロケットは人類社会全体としてみれば、まだ未知の宇宙を探求するわけですから科学的にも重要です。しかし、私としてはより”生活者”としての視点に立ちたい。そう考えるとETCの社会的使命は非常に大きいと思うのです。

例えば一日、高速道路の通行ができないとなると、待ちに待った家族旅行をしてみえる方などに大変なご迷惑をお掛けすることになります。さらに不通ということになってしまうと莫大な経済損失をも発生させてしまいます。ユーザーへの影響を考えるとそれはたいへん大きなものです。しかしその緊張感を乗り越えた時は大きな喜びへと変わりますね。

---今回はたいへん貴重なお話をありがとうございました。それでは最後に今後の意気込みについて教えてください。

お客様のリアルなニーズを反映させて製品開発に携わっていきたいと思います。MOBE-201という特殊フロントガラス車に対応した車載器が近日中にリリースされますが、 特殊フロントガラス車対応となると、元々需要が少ない上にコストも割高になってしまいます。しかしできるだけ多くのお客様にETCをご利用していただきたい。そういった視点であえて発売を決定しました。もちろん今後においてもより安全性と快適を追求した製品を開発していきたいと思います。

ETC版プロジェクト-X

東條氏が設計したH2ロケットエンジン試験設備の写真前にて

構成・編集:稲垣淳一 企画:米内勝雅



 


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