2003年前払割引のスタート、セットアップ数226万台突破、そして助成金制度の開始などいよいよETCは普及への足がかりをつかめたといえる。しかし、その開発についてのバックグラウンド、また私たちが最も身近に接することになるETC車載器の品質そのものについては、あまり語られていないのが事実である。
今回、ETCシステムを設計・開発した三菱重工の担当者をお招きし、開発経緯、実用性の高さを語っていただいた。そして三菱重工製車載器の優位性の高さについてずばりこう明かす。
三菱重工神戸造船所にて |
左:東條孝雄(とうじょう・たかお) |
---本日はお忙しいところありがとうございます。まず三菱重工業と私たちがお世話になっている高速道路とのかかわりを教えてください。(以下、長谷川)
消費者の皆さまにはあまり意識いただかないですが、例えば高速道路の入口と出口での料金収受機をご存知でしょうか?私どもでは昭和39年に名神高速道路での米国製のパンチカード方法通行券発行機を輸入して以来、国産第一号の料金収受機の開発から現在主流になってる磁気方式の料金収受システムの実用化まであらゆるタイプを納入してきています。(以下、東條氏)
---それでは国家的プロジェクトであるITS(高度道路交通システム)の一環であるETC開発の発端はやはり政府からの要請で?
いえ、要請があったというよりも、1990年から弊社独自の研究開発事業としてスタートしました。将来の無人化・ノンストップ化の到来を予測していたと同時に、これまで発展を続けてきた自動車交通も並行して渋滞、環境問題などといったさまざまな諸問題を生み出しました。
そのような中で私どもの21世紀へのチャレンジとして自然と流れが出来たのかもしれません。その結果、ゲートなどの路側システム・車載器において数多くのパテント(基本特許)を取得しました。
---世界に先駆けて実用化されたのも御社とお聞きしていますが?
シンガポールでのERPのことですね。日本では少し想像しにくいですが、あちらは渋滞緩和のために都心の一定地域に入るためには「通行料」を支払う必要があります。以前は通過ごとに人の手で自動車にステッカーを貼っていたのですが、それをすべてIT化したという感じです。
---日本のETCとの相違点は?
周波数こそちがいますが、電波を使うというコンセプトにおいては同じです。全般のシステムにおいても要素技術としては全く同じものです。世界各国から様々なシステムが提案されましたが、最終評価テストにおいてトップの成績を修め、100%の受注を頂きました。
---日本のETCもあらかじめ世界で実証されたシステムを導入しているのですね。それでは開発において苦労したポイントは?
そうですね。シンガポール政府の要請で実際に車を走らせてテストしたことでしょうか。
---それはテストコースとかではなくて?
もちろん。道路の一部を閉鎖して、普通車からトラック、果てはバスやオートバイまであらゆる車でテストを行いました。数えてみると約400万台以上でテストしていましたね。
---想像しがたい数です(笑)、そこには課金ミスなどの予測できない不具合も?
やはり最初にはミスが発生しました。しかし最終試験においては450万台通過で通信エラーはわずか3台におさめることができました。まさに100万分の1の精度を確保できたわけです。
そしてここで蓄積した経験や技術はすべて日本のETCシステムにも反映されています。

昭和50年に開発されたパンチカード方法通行券発行機
構成・編集:稲垣淳一 企画:米内勝雅